貯め込んだ「悲しい金」

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幼いころ、生活に苦労し、貧乏に対する恐怖、飢えに対する恐怖の強い人は、「金がほしい」という欲望は強いでしょう。しかし、「貧乏は嫌だ。金持ちになりたい」という欲望だけでは、せいぜい金を貯めたところで、なかなか事業は興せません。

ある学校の先生は、ケチに徹し、それこそ「爪に火をともす」ような生活を続けていました。洗濯もせず、風呂にも入らず、身体がくさかったとか、。ある日、彼が無断で学校を休んだので、心配した同僚が見に行くと・・。

彼は、ひどく汚い家で、アカまみれになって急死していました。「アカでは人は死なない」というのは間違いで、皮膚がアカでふさがれると、皮膚呼吸ができなくなって、死んでしまうこともあるそうです。さて、その彼の枕もとから出てきたのは、なんと二億円という大金でした。

このような「老人、孤独の死。死後三ヶ月たって発見。貯金通帳には数億円」などという話は、決して珍しくありません。「ケチで、親戚や近所づき合いもなかった」とか、先の先生のように「汚くて、くさいので、人に嫌がられていた」という人も多いでしょう。

そのようにして貯めた金は、いわば「悲しい金」です。「この金をどう生かそうか」とは考えず、ただ、「金を失いたくない」という想念だけが強かったのでしょう。悪いイメージしか描いていなければ、結局、金を失い、命を失ってしまうのです。

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